前回の記事「Linuxとは何か?…」を引き続き解説します。様々なディストリビューションの中で、最もユーザー数が多く OS としての完成度が高い Ubuntu(ウブントゥ) Desktop 24.04.1 LTS を例にして、ポイントをチェックいきます。
Windows10からLinuxへ
Windows 10 のサポートは 2025年10月14日(火)に終了します。サポートが終了すると Microsoft からの無料ソフトウェア更新プログラムやテクニカルサポート、セキュリティ修正プログラムなどが提供されなくなります。そのため、サポート終了後の影響としては次のようなことが考えられます。
- 新種のウイルスやランサムウェアに対する修正パッチが得られない。
- セキュリティ対策ソフトや業務アプリケーションが利用できなくなる可能性がある。
- ブラウザやメールソフトなどのソフトウェアがサポートされなくなる可能性がある。
そこでサポート終了後は、Windows 11. へのアップグレードやパソコンの買い替えを検討する方もいると思います。それに加えて、Windows 10 のサポート終了を機に Ubuntu など… Linux ディストリビューション や Chrome OS への移行を検討する方も一定数いると考えられます。
Ubuntu 初期設定ガイド
Linux ディストリビューションの中でも一番人気の Ubuntu. は公式サイトでインストール方法などが詳しくサポートされています。画面の指示に従い進んでいけば、インストールは問題なく完了します。とはいえ、そのままだと使いにくい部分もありますよね。 そこで Ubuntu Desktop 24.04.1 LTS. を快適に使うための初期設定について分かりやすく解説します。

まずは Ubuntu をインストールしたら、最初にアップデートとアップグレードを行いましょう。これはセキュリティ脆弱性を修正してシステムを安全に保ち、新しい機能や改善された機能を利用可能にし、ソフトウェアが正常に動作するために必要です。Ubuntu はデフォルトで自動アップデートのポップアップ通知が表示されます。常に最新の状態を保つために非常に便利な機能です。通知が出ない場合は Ubuntuソフトウェアセンターを開いて確認します。
一方で、Linux を触る上で GUI(Graphical User Interface)でのマウス操作が中心だと思われがちですが、実際には、CLI(Command Line Interface)を使った操作の方が圧倒的に効率的です。例えば、SSH(Secure Shell)を使ってリモートサーバーに接続し、コマンド操作で管理できます。
最初はコマンドを覚える必要があり学習コストとなります。けれども一度覚えれば、様々な Linux ディストリビューションで応用できます。それでは、端末(Terminal)を開き、以下のコマンドを実行してシステムをアップデートしてみましょう。
端末(Terminal)
sudo apt update
sudo apt upgrade
※sudo apt update はパッケージ情報を更新するコマンドです。sudo apt upgrade はインストールされているパッケージを更新するコマンドです。
wget https://dl.google.com/linux/direct/google-chrome-stable_current_amd64.deb
sudo apt install -y ./google-chrome-stable_current_amd64.deb
rm ./google-chrome-stable_current_amd64.deb
次に Google Chrome をインストールしてみましょう。一行ずつ入力してください。
google-chrome
続けて、 Google Chrome を起動してみましょう。また、アイコンをクリックでも起動できます。
LANG=C xdg-user-dirs-gtk-update
日本語環境でインストールすると、ディレクトリ名が日本語になります。そこで文字化けやプログラムの不具合の原因となることがあります。そのため、上記のコマンドを使用して日本語のディレクトリ名を英語に変更します。「Don’t ask me this again」にチェックを入れ「Update Names」を選択します。
Ubuntu 便利なアプリ
最初からインストールされていないソフトウェアは Ubuntu では Windows や Android と同じように「ストアアプリ」を使ってインストールする必要があります。Ubuntu の場合、このストアアプリは「アプリセンター」と呼ばれています。

sudo killall snap-store
sudo snap refresh snap-store
snap-store の更新でエラーが出た場合は、上記の方法を試してください。
GIMP(GNU Image Manipulation Program)
オープンソースの画像編集ソフトウェアです。多彩なツールと豊富な機能を備え、写真編集、グラフィックデザイン、アート作品の制作に最適です。Photoshop の代替として広く利用されています。クロスプラットフォームで動作します。さらに、拡張可能なプラグインやスクリプトにより、ユーザーは自分のニーズに合わせてカスタマイズできます。
Visual Studio Code
Microsoft が提供するオープンソースのコードエディタです。軽量でありながら多機能で、さまざまなプログラミング言語をサポートします。拡張機能やテーマを追加することで、自分の開発環境をカスタマイズ可能です。クロスプラットフォーム対応、デバッグやGit統合、インテリセンスなどの機能が充実しており、効率的なコーディングを実現します。
LibreOffice
無料で利用できるオフィススイートです。ドキュメントの作成、スプレッドシート、プレゼンテーション、描画、データベース管理など、多機能なツールが含まれています。Microsoft Office との互換性があり、豊富な機能を備えながらも軽量で高速。コミュニティによる開発とサポートが特徴で、個人利用からビジネスまで幅広く利用されています。
Firefox
Mozilla 社によって開発されたオープンソースのWebブラウザです。独自の描画エンジン Gecko を使用し、高速でプライバシー重視の設計が特徴です。そしてトラッキング防止機能や追加のアドオンをダウンロードすることで、ブラウザの外観を変更したり機能が拡張できるようになっています。
Thunderbird
Mozilla 社が開発した電子メールクライアントです。ベイズ理論を用いたフィルタリング機能で迷惑メール対策できるのが特長です。拡張機能とよばれるアドオンの導入でカスタマイズが可能です。また、複数のアカウントを統合管理でき、Gmail などの Webメール を取り込む機能も備えています。
Ubuntu まとめ
この記事では Ubuntu を快適に使うための初期設定とアプリについて解説しました。 これらの設定を行うことで Ubuntu が Windows10 と比較しても遜色のない環境に近づくと思います。そして Linux のコマンド操作は最初は難しく感じるかもしれません。例えば、よく使うコマンドをメモ帳に保存してコピー&ペーストすると便利です。慣れてしまえば非常に強力なツールとなります。ぜひ、コマンド操作をマスターして Linux をより快適に、そして効率的に使いこなしてください。