糸島市の白山神社(はくさんじんじゃ)は、訪れるたびに心が落ち着く場所です。ただ静かなだけではなく、どこか懐かしい雰囲気に包まれていて、不思議と足を向けたくなる場所です。今回はお昼過ぎに自転車でゆっくりと神社へ向かうことにしました。
白山神社を巡る糸島の旅
秋の風を感じながら…
国道202号線を西に進み、秋の風を感じながらのんびりとペダルを漕ぎます。途中、用水路に目をやると、小さなカニが元気に動き回っているのを発見。こうしたささやかな出会いこそ、出かける楽しさをさらに倍増させる瞬間です。
神社に到着すると、歴史を感じさせる鳥居が静かに迎えてくれました。長い時を経ても変わらずそこに立ち続けるその姿は、神社の深い歴史を物語っているかのようです。さらに、奥に続く参道は、木々が生い茂り、美しい木漏れ日を楽しむことができました。この静寂に包まれると、日々の忙しさや悩みもいつの間にか小さく感じられます。そこで参拝を終え、国道202号線を目指して北へ向かった…。
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秋澄む空と海の声
目を閉じれば聞こえてくる…
初秋とはいえ、まだ暑さが残る日だった。喉も渇いていたこともあり、ファーマーズマーケット「福ふくの里」に立ち寄ることにした。店内に入ると、平日にもかかわらず、ご年配の買い物客で賑わっていた。そこで、冷たいソフトクリームを買い求め、外のベンチで一息つくことに…。ふと、「帰るにはまだ早いなぁ」と思い、スマートフォンを取り出して Google MAP で付近を検索…。すぐ近くに「二丈福井海岸」があることを知り、さっそく出発することにした。
二丈福井海岸は、コンクリート舗装された道が松林とパラペットの間を通っており自転車で走りやすい場所だった。自転車に乗り、左手に松林、右手に玄界灘、そして真っ青な空を背景に、その美しい景色の中を走り抜けた。すると、近くから怒鳴り声が聞こえてきた。目をやると、中高生くらいの少年が、父親とおぼしき男性に怒られていた。少年は海岸で地引網をたたんでいるようだったが、注意されている様子だった。福ふくの里で購入した「コカ・コーラ」を取り出し、そこで休憩することにした。
二丈福井海岸の秋日和
少年は、再び海岸に網を広げ、今度は四隅をしっかり合わせてたたみ直していた。汗が顔から流れ落ちている。ランニングシャツ一枚だが汗びっしょりだ。地引網を四枚たたんだころ、少年は防波堤に腰掛け、リュックから水筒を取り出してゴクゴクと飲み、最後には水筒を頭の上にあげて水をかぶった。そして、空を見上げ、その後、水平線をじっと見つめていた。その横顔は、何か深い思索に耽っているようにも見えた。
すると、自転車に乗った制服姿の少女が爽やかな風とともに近づいてきた。ツインテールが似合う可愛らしい少女だ。どうやら、少年の知り合いのようだ。そして、少女は大きなリュックからお弁当と水筒を取り出し少年に手渡した。少年は黙々とお弁当をガツガツと食べ始めた。少女は、それを優しく微笑みながら見守っている。その笑い声は、鈴を転がすように清らかで、まるで海の中から聞こえてくる歌声のようだった。
自然とともに受け継ぐ愛
少女は欠けた貝殻を拾い上げ耳に当てた。波の音、風の音、砂の音。過去にこの場所で聞いた幾つもの音が、彼女の頭の中で貝殻を通して蘇っているように見えた。それはまるで、この海岸の記憶の断片を集めた歌のようにも思えた。少女は微笑みながら、その貝殻を少年に手渡した。少年が貝殻を耳から離すと、まるで自然からの贈り物を受け取ったかのような穏やかな表情をしていた。
彼らの姿を見ていると、過ぎ去った日々を思い出し少し感傷的な気分になった。同時に、この海岸では幾千年も前から、そしてこれからも、同じように波が打ち寄せ、風が吹き、そして、このような出会いが繰り返されていくのだろうと… いう確かな希望を感じた。私は「コカ・コーラ」を飲み干し、海岸をあとにした…。
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白山神社を巡る自転車旅
心が充電されたように感じました。
白山神社の主祭神は、縁結びや調和の神として知られる菊理媛命(くくりひめのみこと)。夫婦喧嘩を仲裁したという神話もあり、思わず「なるほど」と微笑んでしまいました。そして、この神社は水の神様としても信仰されており、地元の農業や漁業を守護する存在として崇敬されています。境内には、歴史を物語る石碑や灯籠が並び、それぞれが地域の信仰を今に伝えています。
このように、白山神社は自然と歴史が一体となった心安らぐ場所です。参拝を終え、帰り道をのんびりと自転車で進むと、心が充電されたように感じました。また、景色が素晴らしく、晴れた日には山々や海が一望できます。天気も良く夢中になって何枚も写真を撮りました。
糸島に訪れる際には、ぜひ白山神社にも立ち寄ってみてください。